搭載されている真空管は、SOVTEKの6L6WGCと5881WXTの2種類でした。頭部の色はほとんど黒です。劣化しているようです。
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回路図は4100−60−02 ISS14を使います。V3はLongTailタイプのPhaseInverter用の真空管です。固定バイアス方式で1つの可変抵抗で電圧を調整しています。
真空管端子の電圧を測ってみました。また、V3のVpは280Vで、その出力波形BL1とBL2はきれいに反転していました。
特に問題は無いようです。
信号を入力して、波形観測をしました。入力信号としては、エレキギターの通常出力信号をオシロスコープで見て、100mVppのサイン波を使いました。インターネットで調べたら通常、20から30mVrms ということなので良いでしょう。
出力が出ていないことがわかります。真空管1種類毎にIpを測ってみました。Ipの測り方については、いろいろあるのでしょうが、大多数がやっているように、カソードを使いました。また、カソード端子には、ヒューズが付いています。電流計を入れたり、ヒューズを外したり、4種類位の方法があります。大きな測定値の違いが無かったので、今回は多数が実施している1ohm抵抗を入れて電圧計で電圧を測る方法にしました。
Vbiasは-50Vにしました。
5881WXT の場合、Ipは31.2mA。
6L6WGCの場合、Ipは6.6mA。
6L6WGCは特に少ないことがわかりました。5881WXTも、頭部の色からして劣化しているのでしょう。
そこで、真空管を交換することにしました。候補としては、6L6の中で耐力がありそうで、評判も良いTAD RT214 6L6GCーSTRを選びました。RT214 は4本とも性能が近いことを示しています。
ついでに、電源回路の平滑コンデンサ2本、とバイアス電圧発生回路のコンデンサも耐圧の高いものに交換します。
信頼の置けるThomannというドイツの音楽関連のオンラインショップから、届きました。
コンデンサも交換しました。
早速測定です。
バイアス電圧は、Ip40.7mAとなった設定にしました。これは、真空管特性から計算した値を参考にしました。インターネットで探したら多数が採用している計算式です。
Low,,,(30x500)/455=32.97mA
High,,(30+5)x636/455=48.9mA
結果的には、High Modeで約100Wになっているし、各値もだいたい良さそうです。フィラメント電圧が高めですが、電源トランスを交換することは考えませんでした。室内電源電圧はAC234Vでした。 電圧制御回路は無く、トランスから直に取っています。室内電源電圧の変動をそのまま反映しているようです。
実際にエレキギターを繋いで試しましたが、お客様も納得できる音になりました。
今回は、はじめて真空管ギターアンプを修理しました。いつもLSI、トランジスタを扱っていたので、苦労する事がたくさんありました。 次回からは、ダミー抵抗もエレキギターもあるので、速やかに修理できるでしょう。